2012年7月5日木曜日

KAMEの翼プロジェクト始動!

中日新聞に掲載!
読売新聞に掲載!


選考された加藤元さんと大見明子さん  4/18アゴラにて


KAMEの翼プロジェクトの滞在制作の若者二人が決まった!選考は京都市立芸術大学の中原浩大氏と東京芸術大学の日比野克彦氏による。その若者は、京都芸大大学院卒の加藤元さんと東京芸大院卒の大見明子さんのお二人。その選考にあたって日比野克彦氏と中原浩大氏からの推薦された経緯をここに記載する。


大見明子さんへの日比野克彦氏からの推薦コメント
 アニメーション作家である大見さんがカメの翼でどのようなアニメーションをつくるのか?もしくは作品の発想をえるのかは大変楽しみである。
カメの翼は、なにやら不思議な時間が流れている。どこにでもある地方とはちょっと違う。都会と田舎という二極化的な色分けでは当てはまらない。ねじれているというのか、遊離しているというのか、それはまるでアニメーションの中のようだ、というと言い過ぎなので、というかそれでは世間はディズニーランドを想像してしまうので・・アニメーションの中ではなくって、アニメーションの裏木戸のカギが壊れて、パタンパタンといっている感じの場所である。そんなところで大見さんが一か月余りを過ごすと、さてさてどのような主人公が彼女の頭の中に棲み始めるのやら・・・。(日比野克彦)

加藤元さんの中原浩大氏からの推薦コメント
推薦にあたっては、少し変わったやり方をとらせていただきました。今回のようなケースには、「自然な成り行き」がとても大切だと考えたからです。
私が行なったのは、誰にとは決めないで、この辺りでつぶやいてみようかなと思いつくままに、こんな条件のこんな話があるけど気になったら実際に行ってみるかい?ということをやんわりと伝えるということです。私の行動範囲はごく限られています。ですからごく偏った伝わり方をしていったと思います。公募というような公平なものとはほど遠いやり方です。そして、推薦の結論としては、名乗りを上げた者勝ち、既成事実化した者勝ちにしようと考えました。推薦というにはあまりに無責任な放り出し方だと思います。結局、私がしたことのすべては、つぶやくときの「この辺り」を勘を働かせて決めることだけでした。
私の話を聞いた何人かは、反応することもなくそこで聞き流したでしょう。何人かは反応して実際にアゴラに出かけてみたでしょう。何人かは反応してその話を別な誰かにしたでしょう。そして、その話を聞いた何人かは反応して行動に移したでしょう。
実際にアゴラを訪れてみて、ある人は何も感じることなく通り過ぎたでしょう。ある人は兆しを見つけるかもしれません。ある人はもやもやとしたまま何度となく足を運んでみるかもしれません。そして、「自然な成り行き」で、誰かが名乗りを上げるだろうと期待していました。それが兆しを見つけた人でもいいし、まだ何も見つからないままに何度も足を運んだ人でもいい。加藤さん(夫妻)が立っているのは、そういう地点だと思います。   
加藤さんが、興味を抱いたという事実、それを行動に移したという事実、名乗りを上げたという事実、それらが、改めて語るまでもなく彼の人となりや意志を表明していると考えます。でも、ひょっとして、こうしている間にも別な誰かが彼ら以上に「自然な成り行き」で居場所を見つけて、事実上の立場が入れ替わってしまうかもしれないとすれば、それもありなんじゃないでしょうか。    (中原浩大)

  加藤元  
1975年兵庫県生まれ  2009年京都市立芸術大学大学院 美術研究科彫刻専攻 修了
アゴラとの出会いは昨年プレイベントに参加していた大塚さんがきっかけでした。
彼女から色々と話を聞いた上で「一度この目で見てみよう」と思いました。昨年十二月、初めてアゴラを訪ねました。渋垂さんからアゴラについての話を聞きアゴラを見学するなかで、複雑な高揚感を感じたのを覚えています。ここに集う子供達や大人達とのかかわり合いの中で感じることや、普段生活している住み慣れた環境ではなく、勝手の知らない少し不便な環境のなかでどう反応出来るかを楽しみたいと思います。一ヶ月、アゴラでの生活の成り行きに身を委ね、自分の直感に従いたいと思います。 (加藤元)
大見明子
1977年 奈良県生まれ
2010年 東京藝術大学大学院 映像研究科アニメーション専攻 修了
アゴラには去年の十二月に初めて行きました。訪れると子供たちが居て、なにやらああだこうだ言いながら、無邪気に何かを作っています。ルールは無く、子供たちが作ってみたい、試してみたいと思うものを時間をかけて思い切り作るのだと渋垂さんはおっしゃいました。私のこれまでの作品制作は、決まった機材と決まった手法、決まった場所でのみ作ってきました。生活の場所を変えて作品を作ることでどうなるのか、今の自分にはまったくわかりません。だけど、今までの少ない経験とか考えは一旦脇に置いといて、自分に何ができるのか考え始めています。緊張して固くなってしまった身体をほぐすように、ここアゴラでは思いついたこと、感じたこと、やってみたいと思うことを、ただただ素直に試してみたいと思っています。(大見明子)

 カメの翼プロジェクトが動く!       
 加藤さんと大見さんは、また四月十八・十九日にアゴラ子ども美術工場にやってきた。そして今回の滞在制作に向けて、積極的にアゴラ周辺の様子を取材した。お二人は、夏に向けて想像を膨らませたことだろう。
 この選考にあたって、情報を得た何人かの若者は、このアゴラにやってきて、表現する場所を得たいと思った事だろう。その中で、加藤さんや大見さんが選ばれた事、それは、彼らの積極性かもしれない。彼らは、二十代、それぞれがイギリスで表現を学んだそうだ。そして異国の土地で何かを感じ、その後偶然二人は、神戸にあるCAPという場所に行き来する。「芸術と計画会議」いろんな意識ある芸術家が集まり、話し合う。そんな場所で、それぞれが自分たちの表現と社会の中での存在を試行錯誤していたのだろう。そしてこのKAMEの翼プロジェクトを知り、行動する。四月に来た加藤さん、大見さんは、アゴラの子どもたちへ興味を示し、アゴラがある里山に興奮した。草にいた虫に興味津々だった大見さんやお茶畑を見ておもむろにカメラを向ける加藤さんの様子を見て、彼らはこの里山の息づいている空気をちゃんと感じているんだと思った。何より、彼らがこれから始まる事に対してワクワクしていると言った言葉に、私たちもちゃんと支えようと言う意思を持った訳である。


4月19日アゴラ近隣取材の二人とアゴラの渋垂先生

by terada










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