2012年7月15日日曜日

加藤さんと大見さん、徐々に準備してます。

加藤さん、大見さんが7月4、5日アゴラにやってきた。
7月28日から始まる滞在制作の下見で、今回は一晩このアゴラに泊まった。
4日夜、静岡のKAMEの翼プロジェクトのメンバーと加藤さんと大見さんをかこっての会食。
加藤さんと大見さんは、ちょっと前に石巻、女川、陸前高田へ行ったそうだ。
震災から一年以上経った被災地だったが、加藤さん、大見さんにとっては大変衝撃的だったようだ。
映像で見た石巻、女川、陸前高田が、実際自分たちの眼で見た石巻、女川、陸前高田は全然違っていた。心揺れた。そこにいる被災地の人に対して、表層だけで判断せず、個々に置かれている立場が違う事をしみじみ感じたという。
女川町の運動公園、病院、三階建ての仮設住宅を回った。
特に印象的だったのは、陸前高田だった。陸前高田は広範囲の町がすっぽりと無くなっている事だった。言葉をなくした・・そういう事を加藤さん、大見さんは話されていた。
ちょうどKAMEの翼プロジェクトのメンバーは震災一ヶ月後から石巻、女川に支援に行っている。原田君の写真展や女川の資料展もアゴラでやった。
その事に彼らは意識し、心を寄せ、動いたのだろうか・・・いろんな事を吸収して感じて思考している彼らを知った。
そうそう、この静岡メンバーの24歳の市川君も個人で5月女川へ行ったそうだ。
この眼で石巻、女川を見た。何もなかった、こんな状態になるなんて・・・と身体で感じた思いを話してくれた。今の状況でもすごい状態だと思いました・・・ほんとうにすごかったんですね・・・と市川君は言った。皆が個々に社会の出来事に意識し、引き寄せここにいるんだな〜。
そして加藤さんと大見さんはアゴラで就寝。

朝、お二人に聞いてみた。「アゴラの夜はどうでしたか?」
「はい、よく眠れました。ガサって夜音がしましたが、快適に過ごせました」と。
子どものいないアゴラに電気もともさず、加藤さんはアゴラにおいてあった手塚治虫の「MW」をコーヒーを飲みながら読んでいた。大見さんはその加藤さんに話しかけていた。
そんな感じの二人は、アゴラの空気にすーっととけ込んでいるようだった。
普段は都会の中で急ぎ足の時間の中で生活しているお二人が、ちょっと一息ついてリセットしている感じに見えた。
その後、渋垂氏と話をする。

加藤・大見「神戸にいたときも同じ共同アトリエにいた。普段生活を共にしているが、互いが違うので面白いしこんな表現をするのだと刺激になる。でも今回はここでは互いに個人個人で制作活動するので変な感じも・・・
いつもは独りで誰とも話さず作品作り・・・ここはいろんな考えの方と関わりがある。」
渋垂「島田の紙わざ大賞の時では中原浩大さんへ普通のおじさんが言いたい事を言ってきた。いろんな人が行き来した。守られすぎていては行けない。社会の中にいてその中で表現、作品を作ることをやってみましょう」 

〜〜〜 静岡県島田市で始まった紙わざ大賞(20年ほど前か・・)・・・それはこのアゴラ子ども美術工場の渋垂秀夫氏が発起人で始まった。〜〜〜  


美術手帖10(1996年)中原浩大「ちゃんとした美術の使い方」―島田のこと―より抜粋

―島田に三年間連続して行かれてましたよね。いわゆるアーティスト・イン・レジデンスっていっていいと思いますが、ちょっと通常のものとは違う気がします。あれってやっぱり大きかったですか?
中原「大きかったですよ。考えてもみなかったこともやらされている部分もあって、いろいろ発見があった。シンプルに自分のなかにあるイメージをかたちにして「作品です」って言うのでは、足りない部分がある。他人と接触しなければならないとか、逆にいかに人と接触しないで町の中にいられるかとか。結構あそこで試したのが尾を引いているという事が多いんちゃうかな。」

―いままでやったことのないことをやる環境、周りの人たちが受け止めてくれるあり方が、ちょうどよかったということですかね。新しいことをやるのがおっくうじゃない環境。
中原「そういう意味ではとても快適だった。だいたい知っている人がほとんどいないから。それまで僕のやってきた事を前提に何か言ってくる訳じゃないというのは助けになりますね。」

―ああ。なかなかそういう環境て体験できる人は少ないような気がする。
中原「そうね。企業なり町なりに関わろうという話まではまだあると思う。でも、そこと敵対してもいいやで、とか、町の中でもずっと関わるためにいなくてもいいんやで、というのはなかなかないと思うんですよ。普通そういうイベントは、仲良くする事を前提にしたり、不思議な言い方ですけれど、一般の人たちのレベルに、って言う発想がほとんどでしょう。こっちが素の状態で突っ込んでいっても構わないというような環境設定というのはなかなかないと思う。砕け散ってもかまわないとか、対立に終わっても構わないとか、みんな興味を引く必要はなくて、無視する人がいても構わへんわけやし、というレベルで設定してくれるのは稀じゃないですかね。」・・・

加藤「イレギュラー、人間的にここ(アゴラ)でどんなけ成長するのか・・・」
渋垂「おもいっきり試す事をしない若者・・・それによって何かが返ってくる事もなく自分の枠の中で作り上げて作品を出す。そうではない。
だからここで思いっきり試してみなさい!KAMEの翼はその事を支えます。」

加藤さんと大見さんは、一ヶ月後から始まるKAME翼プロジェクトに期待とその趣旨をもっと自分に引き寄せたようだった。
さてどのような作品がここで生まれるのだろうか〜。


帰り際、アゴラのあらゆる部分にカメラを向ける大見さん
加藤さんはアゴラの草花に手を添えていた。感覚?触覚?このアゴラの何かと対話してた?
植物に触れ、虫に触れ、アゴラの環境に何かを感じたお二人でした。
by terada

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